タカラガイの仲間 Cypraeidae

 タカラガイの仲間は美しい貝殻を持っているので、貝マニアに人気が
高い。その名前からもわかるとおり、昔から宝物として珍重され、また
世界各地でお金としても使われ、買う、賣る(売るの旧字)などに貝の
字が使われるのも、このことに由来している。昔の人もタカラガイの魅
力に夢中になったマニア?なのかも。タカラガイはふだん外套膜という
体の一部で常に貝殻を覆て、周囲の環境に紛れて身を守っている。その
ため、貝殻に傷ついたり付着物がつくことがなく、滑らかで光沢のある
貝殻になるようだ。日本ではタカラガイを子安貝と呼んで、出産時のお
守りとする風習が残っている。これは独特の貝の殻口の形を女性器に見
立てたことに由来する。竹取物語でかぐや姫が望んだ子安貝も、タカラ
ガイのことだと言われている。                  

     
タイトル  キイロダカラ(Cypraea moneta

 タカラガイの中でも、中国などで多くお金として使われ
 た種類で、学名の種小名もお金のことを意味している。
 岩礁からサンゴ礁の岩やサンゴのすき間、転石下などに
 ふつうに見られ、大量に集めることができたのも、お金
 にされた理由だろう。波の強いところにすむものは貝殻
 が偏圧されて、フシダカキイロダカラ(写真右端)とい
 うバリエーションになる。             
     
タイトル  ハナビラダカラ(Cypraea annulus)と
 カモンダカラ(Cypraea helvola)の摩耗段階


 美しい貝殻を持つタカラガイだが、死んでしまうと外套
 膜の保護もなくなって、波に揉まれ砂に削られて輝きを
 失ってしまう。浜辺などで拾える貝殻のほとんどは、そ
 うやって痛んでしまったものばかり。でも、いくつか集
 めて見てみると、元の貝の種類がわかったりして、推理
 ゲームのように楽しめる。どうせ拾うならきれいな貝殻
 が嬉しいのだけど、たまには痛んだ貝殻にも目を向けて
 みてもおもしろい。                
     
タイトル   ヤクシマダカラ(Cypraea arabica)の成長過程

 タカラガイの貝殻は体層が巻き込んで殻口が狭く、また
 螺搭も見えない、独特の形をしている。けれど、幼貝の
 時期にはほかの貝と同じように殻口が広くて、はっきり
 とした裸搭が見られる。成長の過程で体層が殻口部分で
 内側に巻き込み、殻も厚くなって、次第にその独特の形
 へと変化していく。                
     
タイトル   メダカラガイ(Purpuradusta gracilis

 タカラガイは生時、外套膜という体の一部で貝殻を覆っ
 ている。外套膜はそのタカラガイが生息する環境に対す
 る保護色になっているので、生きているタカラガイを見
 つけるのは、なかなか難しいのだ。このメダカラガイは
 磯の岩の裏側を這っていたもの。外套膜が縮んで貝殻が
 見える。(外套膜は、こげ茶色で白い突起のある部分)

タイトル

Back