貝は貝でも…1 Cephalopoda

 貝類とは軟体動物の別称であり、その中にはいわゆる貝(巻貝類や二
枚貝類)だけではなく、タコやイカも含まれている。タコやイカが貝?
と思う人が多いだろうけれど、動物の分類では、貝殻を持つ貝も、貝殻
を持たないイカもタコも、同じ祖先から進化した仲間なのだ。タコの場
合、貝類との類縁は体のつくりを調べなければ分からないが、イカの場
合は見た目にも分かり易い証拠がある。それがイカの甲。イカでは貝殻
が退化して体内に入り、骨のように体を支える器官に変化したのだ。私
たちがよく食べているイカ・ツツイカの仲間では、甲はキチン質の半透
明で細くてペラペラしたもの。しかし、コウイカの仲間では石灰質で船
形の大きな甲を持っていて、よく海岸にも流れ着いている。セキセイイ
ンコが囓っているのでもお馴染みだ。               

     
タイトル タイトル
    コウイカ
    コウイカ(釣りの世界ではスミイカ)は、本州沿岸では最もふつうに見られるコウイカ類だ。
    甲の形は船形で棘のある側を中心に側面が立ち上がっている。左の写真の甲は 12 センチで、
    サイズ的にはよく見かけるものだけれど、一回りほど大きいものもある。この大きな甲は別種
    のカミナリイカのものかも。ちなみに、沖縄などに生息する大型のコブシメは胴長が 50 セン
    チにもなり、甲の長さも30センチ以上になります(TOP写真)。沖縄では長さわずか2.5セン
    チの甲を拾ったこともある(右写真の最小のもの)。コブシメの赤ちゃんの甲かも?    
     
タイトル
  小型コウイカ類
  コウイカ類の中でも、小型の種類では甲の形や色も違
  う。船形というよりも、やや幅広の剣形という感じで
  色も肌色や淡いピンク色をしている。甲の大きさはふ
  つう6〜8 センチほどのもをよく見かける。ただ、ま
  れに 10 センチ以上の大きなものを見かけることもあ
  る。実際に調べたわけではないけれど、このタイプの
  甲は胴長が 10 センチ以内のヒメコウイカやスジコウ
  イカ、ボウズコウイカのものではないだろうか。 
     
タイトル
 トグロコウイカ Spirula spirula
 このイカは熱帯海域の水深200〜700メートルほどに棲
 み、胴(外套)長が3.5 センチ という小型種。このイカ
 の甲は見ての通り他のイカ類と大きく異なっていて、オ
 ウムガイの貝殻のように多くの部屋からできた渦巻き状
 の管になっている。トグロコウイカはこの甲を使って浮
 力をとりながら、海の中層で浮遊生活しているのだ。生
 時は体から甲の一部が透けて見えているらしい。このイ
 カの甲は、日本ではかなり稀な漂着物の1つで、沖縄や
 南紀での記録が多いようだ。僕は2002年9月12日に、
 神奈川県葉山町で1個拾うことができた。      

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