タイトル

ニッパヤシ Nypa fruticans


 地面からそのまま葉っぱが生えているような、不思議なヤシの木。ヤ
シの中でも1属1種の変わり者だけど、熱帯や亜熱帯のマングローブの
後背湿地でふつうに見られる。その分布の北限が八重山諸島の西表島で
島内に2カ所、自生地がある(ただし1カ所は枯死に近い)。種子は1
つの房(?)にまとまってつき、そのようすはマンガに出てくるような
イガイガのこん棒のようにも見えて、楽しい。種子の漂着は日本各地で
見られるから、その多くは西表島ではなく、東南アジアなどからはるば
る流れてくるに違いない。ニッパヤシは株別れでも増え、ひとつの株が
外側にどんどん大きくなっていく。花粉はコウモリが媒介する可能性も
あり、海流散布以外にも興味深い性質を持っているようだ。     


タイトル
                    漂着状態(西表島)。

拾得地:沖縄県西表島


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