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サキシマスオウノキ Heritiera littoralis


 熱帯地方の湿地に生える植物には、地上に板のような平たい根・板根
が発達するものが多くある。その中でもサキシマスオウノキは特に有名
で、昔はその根を船の舵などに利用していたそうだ。実は果皮が取れて
しまうと固い種子が現れ、その片側にははっきりとした稜がある。この
稜は種子が漂流する際に船のキールの役割を果たし、種子が流れやすく
なっているのだ。サキシマスオウノキの仲間の多くは内陸に生えていて
そのほとんどが種子に羽のついた風散布植物。けれど、海岸近くの林に
生えるサキシマスオウノキの場合種子の羽は退化して稜となり、海流散
布に適応している。なにげに生物進化の不思議が詰まっているのだ。 

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         漂着状態            サキシマスオウノキの板根(西表島ヒナイ川)

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