サクラガイ Fabulina nitidula
カバザクラガイ Fabulina iridella
 薄桃色の美しい貝殻はやはり人の目を引くのか、サクラガイは昔から
詩や歌などの題材にされてきた貝だ。昭和30年代頃までは、海岸でごく
普通に拾えたらしいのだが、しかし海岸が埋め立てられ、海の汚染が目
立つようになってからは、次第に姿を消してしまった。       
 けれど、まだまだ探せばサクラガイを見つけることができる。サクラ
ガイは本来は内湾にすむ貝なので、開発の影響をもろに受けてしまった
けれど、外洋に向いた湾にすむ仲間のカバザクラガイは健在。違いは貝
殻に2本の白い帯があること(サクラガイは1本)。濡れた砂浜に落ち
ている貝はほんのり透き通って、ハッとする美しさ。逗子の海岸では、
連日、多くの人がサクラガイを拾うために海岸を歩いているほど人気。
 
タイトル タイトル
          カバザクラガイ Fabulina iridella           漂着状態

タイトル
                  カバザクラガイ色彩変異 見つかる数は少な目。

 サクラガイ以外にも、同じようなピンク色をした貝が何種類かある。
サクラがあると思えば、モモノハナガイというのもあるのだ。神奈川県
の海岸で拾ったものは、細長い独特のスタイルをしたベニガイ。ただ、
拾える数はかなり少なく、貝殻も傷んだものが多い。おそらくはすでに
絶滅して、死んで残された貝殻だけが流れ着くのかも。こんな綺麗な貝
殻が普通に拾える、そんな海であってほしいもの。         
 
タイトル
                  ベニガイ Pharaonella perieri
                  神奈川県ではとっても珍しい。あるいはすでに絶滅?


 サクラガイ以外のピンク色をした貝。モモノハナガイをちゃんと確認
した(写真左下)。大きさは1センチほどで、水に濡れているとカバザ
クラガイよりも明らかに濃い紅色で目立つ。白い模様がV字形に入るの
も特徴だ。逗子や鎌倉の浜辺では数はかなり少な目だけど、ベニガイほ
どではなく、探せばいくつかは拾えるはず。大きさの比較は写真右下の
通り。左下がモモノハナガイ。右下がカバザクラガイ。上の大きなもの
はオオモモノハナガイで、カバザクラガイほどではないものの、普通に
見られる。まだよくわからない(見つからない)のは種のサクラガイだ。


タイトル タイトル
モモノハナガイ(エドザクラ)Moerella jedoensis      オオモモノハナガイ Macoma praetexta


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