ウニの殻 ECHINOIDEA

 ウニは棘皮動物門ウニ綱というグループの生き物。種類によって体の
大きさや形、トゲのの長さや色などに違いがあって、けっこう個性的。
ところが、そのウニのトゲの下にある姿も個性的なことを知っている人
は少ないだろう。ウニは種類によってトゲのつき方や太さが違い、殻に
残る模様やいぼの並びもそれぞれ違っている。これがなかなかおもしろ
く、きれいだったりする。ウニ殻はとっても壊れやすいものなので、扱
いが貝殻などよりも難しいけれど、ついつい拾いたくなってしまう。 

     
タイトル   バフンウニ 
  Hemicentrotus pulcberrimus


  バフン…そう、名前は「馬糞」の意味。トゲ
  が細く短く、全体に緑味がかった姿からつけ
  られたものだと思うけれど、少し可哀想。仲
  間のエゾバフンウニの卵巣は高級食材で、本
  種の卵巣も食べることができる。とは言って
  も、小さすぎて食べようがないけれど。磯の
  岩下などに普通に見られ、殻もよく拾える。
  直径が5ミリもないような小さな殻も拾える
  し、色も草色をしていて、きれいな放射状の
  模様があったりして、とっても可愛らしい。
     
タイトル   ムラサキウニ 
 Antbocidaris crassispina


 ムラサキウニも磯で普通に見られるウニの仲
 間。ちょっと深い場所に行けばそこそこの大
 きさのものがいて、食べられそう(地元の漁
 業権などがあるから採取はダメ)。殻もよく
 拾えて、かなり大きなものが落ちていること
 も。もっとも、大きなものは痛んでいること
 も多く、自分的には小さいサイズがお気に入
 り。バフンウニの殻に比べると、ちょっと無
 骨な雰囲気。アカウニに比べて殻高が高い。
 色はほんのりと紫がかった濃いグレー。  
     
タイトル  ナガウニの仲間? 
 Ecbinometra sp.?


 沖縄・慶良間諸島で拾ったもの。それほど珍
 しくはなかったので、浅場にいる種類か? 
 図鑑で見ると、トゲのつき方の感じがナガウ
 ニの仲間によく似ている。形はふっくらと高
 さがあって、楕円形をしているのが特徴だ。
 表面のいぼいぼが、トゲのついている場所。
 そのいぼいぼが疎らなのも特徴だろう。太陽
 にさらされた時間の違いなのか、種類の違い
 なのか緑っぽいのとベージュっぽいのがあっ
 て、その微妙な色の違いが、並べて置いてみ
 るとちょっと楽しかったりする。     
     
タイトル   ラッパウニの仲間? 
 Toxopneustes sp.?


 これも沖縄の慶良間諸島で拾ったもの。上の
 ウニ殻に比べてこちらは数が少なく貴重。種
 類はわからないけれど、表面の様子からは、
 かなり細かくて多数のトゲがあるウニだと思
 う。いぼいぼの列が作る放射状の模様と、同
 心円状に散る濃い色の模様がなんともきれい
 なウニ殻だ。もう少し数を拾いたいウニ殻の
 1つなので、沖縄に行くときは注意したい。
     
タイトル   コシダカウニ 
  Mespilia globulus


  一見、バフンウニの殻に似ているけれど、背
  が高くて、真上からよく見るときれいに五角
  形で、「五放射相称」という棘皮動物の特徴
  を、はっきり見ることができる。トゲの生え
  ない帯状の部分も5本あるのがわかる。それ
  ほど数は多くないけれど、神奈川県の海岸で
  も時どき拾うことができる。赤い部分の色が
  もうちょっと鮮やかだと、もっと素敵なウニ
  殻になるんだけどな…。         
     
タイトル  サンショウウニ 
 Tenmopleurus toreumaticus


 ではないかと思う。太いトゲのつく帯と、細
 いトゲのつく帯が2本交互に並ぶ特徴から判
 断した。近い仲間のキタサンショウウニかも
 しれないが、どちらにしても拾った殻からで
 は正確な判断は難しいところ。殻は上から見
 ると円形に近く、横から見ると高さ(厚み)
 があり、山形のように盛り上がっているのも
 特徴だ。トゲのつくイボの部分は密で、彫り
 が深い。こうして見てみると、殻だけでもか
 なり個性的なので、なかなかおもしろい。 
     
タイトル  アカウニ 
 Pseudocentrotus depressus


 磯などで普通に見かけるウニなのだが、意外
 に殻を拾う機会が少ない。ただ、殻は別科の
 ムラサキウニによく似ているから、混同して
 いた可能性もある。これは、まだトゲが残っ
 ていたので判別できた。殻で見分ける場合は
 アカウニは殻径に対して殻高が非常に低く、
 平べったい形をしていること、殻に赤みがあ
 ること、トゲのつくイボ、凸部分がやや繊細
 に見えることがポイントになると思う。生き
 ているものは、名前の通り赤紫で、ややまば
 らにトゲが生えているから、ムラサキウニと
 は容易に見分けることができる。     
     
タイトル   タマゴウニ 
 Ecbinoneus cyclostomus


 だと思う。とある本に載っていた図版とそっ
 くりで、それがタマゴウニだったのだ。最初
 はブンブクの仲間とも思ったけれど、こちら
 が正解のようだ。タマゴウニは世界でも2属
 2種しかいない少数派のウニ。トゲは非常に
 微少とのこと。確かに殻に残るイボ、凸部分
 はとても小さい。また、ウニは肛門が普通は
 上面にあるのだが(口が下面にある)、タマ
 ゴウニでは下面にあるのが特徴らしい。  
     
タイトル   タコノマクラ 
 Clypeaster japonicus


 殻の大きさが10 cmほどになる大型種で、海
 底の砂地を這ってくらしている。名前が何と
 も楽しげで、名づけた人のセンスがまたとて
 も素敵だ。でも、その生活にはナゾが多い。
 その1つに「小さなタコノマクラを見ない」
 というのがある。海中でも目につくのは、わ
 りと大きな個体ばかりなのだ。この幼体は小
 型の仲間と混同されているのでは?という意
 見もあるが、定かではない。何とも不思議な
 ウニなのである。            
     
タイトル ハスノハカシパン 
Scapbecbinus mirabile


カシパンの仲間で、とても薄いウニ。殻の縁
はギザギザっとした感じだが、よく見ると五
角形っぽいのがわかる。殻の裏側が、ハスの
葉のように見えることが、名前の由来のよう
だ。逗子や鎌倉の海岸ではどちらも拾えるよ
うだけど、生息環境の違い、棲み分けなどが
あるのかは、よくわからない。以前に訪れた
外房でよく打ち上がっていたので、外洋に向
いた砂地の海底にすむ種類なのだろう。  
     
タイトル  ヨツアナカシパン 
 Peronella japonica


 カシパンは「菓子パン」のことだと思う。殻
 の上についた花びら模様が、桜を乗せたあん
 パンみたいだからだろうか? ちなみに、ヨ
 ツアナは生殖孔が4つあることに由来する。
 トゲトゲのあるウニとは別グループで、細か
 くて短いトゲが体の表面にたくさん生えてい
 て、たわしのようにチクチクする。ふだんは
 砂の中に潜って暮らしている。      
     
タイトル   ミナミヨツアナカシパン 
 Peronella lesueuri


 沖縄のどこか(西表か慶良間)で拾ったもの
 だけど、ずっとこちら(本土)のヨツアナカ
 シパンと同じ種類だと混同していた。でも、
 つい最近になって図鑑を見て、別種であるこ
 とに気がついたのだ。形にはかなり個体差が
 あるようだけど、全体に殻が分厚くて、がっ
 しりしていることが特徴。特に、縁の部分は
 少し盛り上がって厚みがある感じ。同じ大き
 さのヨツアナカシパンと比べると、2倍は厚
 い感じがする。分布は奄美、沖縄諸島以南。

 *今までヨツアナカシパンとして掲載してい
 た写真は、このミナミヨツアナカシパンでし
 た。改めて訂正いたします〜。      
     
タイトル  スカシカシパン 
 Astriclypeus manni


 殻に5つの穴(透かし)があるという変わり
 種のカシパン。タコノマクラより大型になる
 けれど、穴の開いている周縁部はうすくて、
 中身の入っている部分はやたら小さい。生息
 水深が深いのか、海岸に打ち上がっているの
 は古い破片ばかり。なかなか完体を拾うこと
 ができず、ここにも破片の写真を掲載してい
 たけれど、2006 年の秋に、ついに拾うこと
 ができた。大きさは 13.5 センチもあるから
 文句無しで日本最大級のウニといえるのでは
 ないだろうか。漂白がうまくできず、ちょっ
 と汚れた感じだけど、大切なお宝なのだ。 
     
タイトル   ちびウニ 
  モルディブ諸島のヴィヤドゥ島で拾った「ちびウニ」。
  ちびと言うとおり、大きさは1cm もない。ブンブクの
  仲間ではと思ったけれど、どうやらタコノマクラに近い
  マメウニの仲間らしい。何でたくさん漂着していたのか
  は、まったく不明なのだ。ヴィヤドゥ島はダイビングで
  有名な島。初めての海外旅行で訪れたこともあって、こ
  のちびウニは、その思い出の一品でもある。     
タイトル


 オオブンブク 
 Brissus agassizii


 やっと手に入れた最初にブンブクがこれ。海
 が強く荒れた後に打ち上がったもの。名前の
 通りの大型種で、写真のものは約6センチ。
 最大では9センチほどになるらしい。拾った
 ときにはまだかなり中身が残っていて、結局
 漂白しても完全には白くできなかった。ブン
 ブク類は海底の砂に深く潜って暮らすウニの
 仲間。外敵に襲われる危険が少ないため、殻
 がほかのウニよりも薄くて脆い。漂白にも神
 経を使うのだ。殻の上の花びら模様は長くて
 「大」の字形。ヒゲを伸ばしたオジサンのよ
 うにも見えて、なんだか楽しい。ブンブク類
 は相模湾にも普通に見られるのだけれど、殻
 が打ち上がることは滅多にないのが残念だ。
     
タイトル  マダラウニ
 Pseudoboletia indiana


  初めて拾うタイプのウニ殻。正確には種類は
 判断できないが、ウニ殻の模様はある程度、
 トゲのつき方と関係している。それから考え
 て、マダラウニではないかと判断した。見て
 の通りの模様が魅力。写真ではやや色が濃い
 けれど、これは洗って間もないため。完全に
 乾いたものは、もう少し明るい感じの色だ。
 マダラウニは南方系の種類出、サンゴ礁域で
 はさほど珍しくないようだけど、手持ちの図
 鑑によれば、相模湾では「稀」とのこと。 
 タイトル


 サンショウウニの仲間
 Tenmopleurus sp.


 写真左がそれで、千葉県館山市の海岸で拾っ
 たもの。右側が上でも紹介しているサンショ
 ウウニ。直感でサンショウウニの仲間として
 いるが、実際に確かめたわけではない(学名
 も同様)ので念のため。サンショウウニの仲
 間でよく見られるのは、サンショウウニ、キ
 タサンショウウニ、ハリサンショウウニあた
 りだが、そのどれかではないかと思う。ちゃ
 んとトゲのついたものを拾って確かめないと
 いけないなぁ…。ちなみに、このウニは、お
 友達の千葉のビーチコーマーさん達は拾って
 いないとのこと。       
タイトル    NEW!
  ヒラタブンブク
  Lovenia elongata


  神奈川県で2種類目のブンブク。相模湾には
  数種類のブンブクが生息しているはずだけど
  海岸地形や生息水深などの関係なのか、打ち
  上げをほとんど見ない。ヒラタブンブクは、
  何度か欠片を見ていて、今回やっとまともな
  ものを拾うことができた。と言っても、横に
  大穴が開いているし、ちょっと漂白し過ぎて
  口の周辺が取れてしまった(泣)。横幅があ
  る平たい体形で、花紋は形が崩れてほとんど
  花に見えない。生きているときは、ブンブク
  特有の短いトゲ以外に、細く長いトゲが数本
  背面に生えているのが特徴だ。     

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