アサガオガイ Janthina janthina
ルリガイ Janthina globosa
ヒメルリガイ Janthina exigua

 巻き貝の1グループに、アサガオガイ科というグループがある。この
仲間の貝は変わり者で、自分で出した粘液で泡のいかだを作り、そのい
かだにぶら下がって海面を漂っている。そして、海流に乗って移動しな
がら、同じように海面を漂うクラゲを捕食して暮らしているのだ。そん
な生活に適応したのか、その貝殻は非常に薄質で軽く、指で簡単に潰せ
てしまうほど繊細なもの。しかも、自分の持つ色素によって、貝殻は美
しい紫色に染まっている。そのため英名では「Violet shell」とも呼ば
れている。この仲間の貝は生活域が外洋のため、貝殻を拾えるこことは
めったにない。強い岸寄りの風が吹いたときに、稀に打ち寄せられるだ
け。しかし、運が良く大風の後に海岸に行くことができれば、大量漂着
に巡り会い、大興奮!なんてこともある。             


     
タイトル   ルリガイ Janthina globosa
 ふっくらと柔らかい膨らみを持った、瑠璃色の美しい貝
 殻をしている。その瑠璃色は貝殻全体でほぼ一様だが、
 個体によって色が濃いもの、白っぽいものがある。貝殻
 は最大で500円硬貨ほどの大きさになるが、そんなもの
 は滅多に拾えない。小型で螺搭部分が低いハブタエルリ
 ガイ(J.pallida)という近似種もあるのだが、こちらは
 まだ拾っていない。         


  拾得地:沖縄県西表島、西伊豆松崎町、神奈川県葉山町(一色)、
      茨城県神栖市(波崎町)
     
タイトル   アサガオガイ Janthina janthina
 ルリガイに比べるとやや扁平な形の貝殻。貝殻の上面は
 やや白っぽい色で、下面が美しい瑠璃色をしている。螺
 搭の部分が幅広く、殻高が高いバリエーションがあって
 コシダカアサガオガイ(J.j.forma balteata)(写真左
 上)と呼ばれている。僕の数少ない経験では、どちらの
 タイプも同じように漂着している気がする。この貝を初
 めて拾ったのは沖縄の西表島で、その色彩の美しさと華
 奢な貝殻に驚かされた。ティッシュにくるんでフィルム
 ケースに入れ、大切に持ち運んだ思い出がある。

 拾得地:沖縄県西表島、神奈川県横須賀市(荒崎)、逗子市、鎌倉
     市、茨城県神栖市(波崎町)
     
タイトル  ヒメルリガイ Janthina exigua
 最大でも殻高が1センチほどの小さな貝だけど、アサガ
 オガイ科の仲間では最も美しい瑠璃色をしている。この
 貝も大量漂着することがあるようで、今のところ僕はこ
 の貝単独の漂着を見たことが1度しかない。大抵、アサ
 ガオガイかルリガイとセットで漂着していることが多い
 のだ。でもアサガオガイとルリガイが混じることはほと
 んどないようだから、偶然かもしれないけれど不思議。

  拾得地:沖縄県西表島、神奈川県葉山町(一色)、茨城県神栖市
      (波崎町)








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