トガリアミガサタケで「いろいろ」

 食べられるか、食べられないか。キノコの判別はとても難しい。縦に
裂けると毒…とか、色が派手なのは毒…とかよく言われているけれど、
その手の話はほとんど根拠のない迷信、大嘘だ。見た印象なんて当てに
ならない。見た印象で言ったら、アミガサタケの仲間など誰も食べられ
るなんて思わないだろう。キノコを知るには、知識・経験のある人に学
んだり、1つひとつ特徴を覚えていくしかない。けれど、アミガサタケ
の仲間など特徴がはっきりしている種類なら、一度覚えてしまえば迷っ
たり間違えたりする危険は少なく、むしろ安心して楽しめる。    

ここでは、あくまで自分の体験を紹介しているに過ぎません。キノコ類
の採集、利用については、自己の責任においておこなってください。 


タイトル   トガリアミガサタケ
アミガサタケの仲間には数種類あるけれど、本種は名前の通り頭部が細長く、と
がっているのが特徴。頭部の色は濃い褐色だ。キノコというと多くの人は夏から
秋のものと思うようだが、このキノコの旬は春。草地や林内地上、腐葉土の上に
生える。仲間のアミガサタケは、頭部に丸みがあり、色も明るい褐色。ほかのキ
ノコに比べて少し硬くて、質はボソボソした感じ。中は空洞で、盛りを過ぎたも
のは、中に虫が入り込んでいることもあるから、下ごしらえの時に注意したい。
フランスではモリーユ(モレル)と呼ばれ、高級食材とされているが、日本では
あまり人気がない。たぶん見た目の印象が、かなりマイナス要因だと思う。また
下で詳しく述べるけれど、調理法に少し工夫が必要なキノコだと思った。   
     
タイトル タイトル

生食は有毒!必ず茹でる
図鑑によっては、アミガサタケの仲間には毒マークがついている。アミガサタケの仲間には水溶性の毒
が含まれていて、生食すると中毒を起こすのだ。利用する際には必ず茹でこぼす必要がある。僕は、流
水でよく洗ってから茹でている。盛りを過ぎたものは中に虫がいたりするので、茹でた後に切り開いて
軽く流水で洗っている。あんまり洗うと旨味も逃げてしまうのかもしれないけれど…。アミガサタケの
仲間は茹でることで食用になるが、頭部が脳味噌のような形をしたシャグマアミガサタケは、揮発性の
強い毒を持っているので注意が必要。ヨーロッパでは利用するらしいが、避けた方が無難だろう。また
生のまま乾燥させれば保存もできるし、旨味も増すとのこと。たくさん採れた場合は試してみたい。 

     
タイトル   @野菜炒め
  まずは無難に野菜炒め。シンプルに、ブロッコリーと合わせ
  て、塩、コショウで味付け。生の時は、かなりボソボソした
  肉質の印象だったけれど、茹でると少ししっとりして歯ごた
  えも出てくる。食べると独特の香りがあって、多少好き嫌い
  が分かれそうな印象。以前よりずっと試してみたいと思って
  いたキノコだったのだけど、第一印象は「そんなにたいした
  ことないなぁ…」だった。野菜炒めなら、市販のシイタケを
  使った方がずっと美味しいかも。なぜ、おフランスではこの
  キノコを珍重するんだ?調理法が違うのか?と言うことで、
  翌年にリベンジ。(そしてA以降の料理へ)       
     
タイトル   Aクリームシチュー
  トガリアミガサタケは少し硬めの質と、独特の香りがある。
  ネットなどで調べると、フランス料理でクリーム系の料理に
  使っているのを知った。では、早速と言うことでクリームシ
  チューに入れてみた。もちろん、シチューのルーなんか1か
  ら作れるわけもなく、市販のものを利用。具はジャガイモと
  ニンジン、チンゲンサイの葉柄、タマネギ、鶏肉。キノコは
  茹でてあるので、およそシチューが出来てから投入。で、こ
  れがなんと美味しいのだ。硬くて少しボソッとした肉質も気
  にならず、香りもシチューの味と調和している印象。このキ
  ノコは、こってり系の味付けの料理に向いているようだ。 
     
タイトル   Bパスタ
  パスタの具にもしてみた。これは、とあるガイドブックに出
  ていたもの。でも、よく考えてみたら、調理法としては、@
  の野菜炒めとたいして変わらない。食べてみた印象もイマイ
  チな感じ。不味いと言うわけではない。でも、美味しい!っ
  ていうほどでもない。「たまたま、そこあったから、入れて
  みました〜」という感じで普通。でも見た目はなんかソレっ
  ぽい。アウトドアっぽいことしてます、という感じ。野外で
  採ったものをすぐ調理する場合などには、これもいいかも。
     
タイトル   Cパスタ(クリームソース風)
  ネットで見つけたキノコ好きの人のHPにあったレシピを、
  適当にアレンジしたのがコレ。レシピは下に書くとして、食
  べた印象は…美味しい! これも味付けはこってり系。やは
  りアミガサタケの仲間は、この手の調理法が向いているみた
  い。和風と言うより洋風向きのキノコと言う気がする。ただ
  し、普段はこの手の料理をまったく作らないし、外でも食べ
  る機会が少ない。味付けにあれこれ入れているので、どこま
  でがトガリアミガサタケの味なのか、イマイチよくわからな
  かったりするのだけど…。調理の仕方次第では、もっと本来
  の風味を活かすことも出来るだろう。でも、美味しかったか
  ら結果オーライでいいや。(ソース・レシピは下を参照) 
     
タイトル タイトル タイトル
 @茹でたトガリアミガサタケをみじん切りにする(写真左) A鍋にオリーブオイルを入れ、みじん切りにしたニンニクを炒め、その中に@のキノコを入れて炒める。ネットのレシピではイタリアンパセリを同じくみじん切りにして入れるとあったが、そんなものはないので、ほんの少しハーブスパイスなどを入れてみる(写真中) B適当に炒めたら、生クリームを入れる(200mlの4分の1くらい?)。こってりした味にするため、クリームチーズも入れる(一口サイズのを1個)。さらにお湯に溶いたコンソメをいれて、水気が少なくなるまで煮詰める。塩、コショウで味を調えて、完成(写真右) *キノコは大小7〜8本使用。調味料その他の分量はすべて適当。3〜4人分くらいできました(笑)

Back

From Mountain Side