ツクシで玉子とじ

 ツクシと言えば、身近な山菜の代表だ。でも、自分ではほとんど食べ
た記憶がない。自宅で…というのは、わずかにかなり幼い時期の1度く
らいだろうか。親戚の集まりの食卓に出たような記憶もあるが、自分の
身の周りではあまり積極的には利用していなかった感じがする。それが
社会人になってから、同じ会社の人がツクシの煮浸しを作ってきたのを
食べて「あぁ、意外に美味しいんだなぁ…」と思ったのだ。しかし、い
ざ自分で採って食べようと思うと、これがなかなか。時代が過ぎて、い
つの間にか人目を気にせずツクシを採れる場所が消えていたのだ。でも
今回やっといい場所を見つけたのでチャレンジしてみた(笑)。   


タイトル   ツクシ(スギナ)
  ほとんどの人はご存じだと思うけれど、ツクシという植物は
  ない。ツクシはトクサ科のスギナの胞子茎で、他の植物で言
  えば花のようなもの。本来の葉や茎であるスギナは、ツクシ
  が消えた後に伸びてくる。地下茎でも増えるので、辺り一面
  にツクシだらけということもある。よい場所を見つければ、
  一度に相当量の収穫が出きるだろう。案外、空き地や住宅地
  の土手など、何気ない場所に生えていることが多いから、自
  分の家のまわりをもう一度見回してみるといい。早春から出
  始めるので、うっかりしているとチャンスを逃すかも。  
     
タイトル  @下ごしらえ
 ツクシの下ごしらえは、“はかま”を取ること。かなり
 面倒くさい作業だけれど、はかまは固くて舌に残るから
 丁寧に取り除く。胞子が出る前の、頭の部分が固いもの
 が最適ということだが、胞子が出ているのを採ってきて
 も頭の部分を取って茎だけにしてしまえば問題はない。
 それにしても、時間がかかるし大変。家族数人分なんて
 ことになったら辛いので、みんなで楽しく下ごしらえ…
 というのが理想的かな(笑)。           
     
タイトル  Aゆでる
 頭の部分が少しでも開いていると、けっこう胞子が落ち
 るので、水洗いして胞子や泥などを洗い流す。料理にも
 よると思うが、今回はアク抜きのために最初に茹でてみ
 た。本によっては重曹を一掴み…などと書いてあるもの
 もあるけれど、そこまでする必要はないだろう。頭の部
 分が茎より苦いけれど、さほど気にならない。フキノト
 ウが平気なら、まったく大丈夫。          
     
タイトル  B玉子でとじる
 茹でたものをザクザクとぶつ切りして、そのほかの具と
 一緒に煮込み、玉子でとじる。今回はがっちりご飯のお
 かずになるように、鶏肉とタマネギを入れた。親子丼の
 具とほとんど同じ。煮汁は、醤油、みりん調味料、出汁
 (出汁の素をお湯で溶く。そばつゆの素があれば簡単)
 ほどほど煮え味が染みたら溶き玉子をかけて、蓋をして
 しばらく煮る。                  
     
タイトル  D出来上がり
 今回は若干、醤油味が強くなってしまったためか、意外
 に苦みやエグみをほとんど感じず、ちょっと拍子抜け。
 茎も煮えてしまえば柔らかいので、特に歯ごたえがある
 わけでもない。う〜ん…煮すぎ?(笑) 味が染みるよ
 うにたっぷり煮るなら、最初に茹でなくてもいいのかも
 しれない。でも、逆に言えば、苦みや青臭さがないのだ
 から、食べやすい美味しさと言えるのかも。“らしさ”
 を楽しむのなら、あまりほかの食材と混ぜずに、シンプ
 ルにツクシだけの素材を活かした調理をした方がいいの
 かもしれないので、次はそんなものに挑戦してみよう。

ツクシでこんなことも…

タイトル  ツクシのきんぴら風
 玉子とじの反省を活かし?つつ、別のメニューに挑戦。
 茹でていないツクシを使ってきんぴらを作ってみた。量
 が少ししかなかったので、ニンジンを千切り風に切って
 加えてみた。きんぴらのレシピはネットで調べたが、も
 ちろん調味料の分量などすべて適当。まず、ざく切りし
 たツクシとニンジンをサラダ油で炒める。この時に鷹の
 爪(トウガラシ)を入れる。火が通ったら味付け用の煮
 汁(出汁の素を溶いたもの、醤油、みりん風調味料、砂
 糖を混ぜたもの)を加えて、水分が飛ぶまで炒めて出来
 あがり。仕上げにゴマをパラパラ。結果は思いの外、美
 味しくできた。苦みもほとんど感じず、シャキシャキと
 した歯応えがあるので、ちょっとしたおかずになる。 

タイトル  ツクシの佃煮
 ツクシがたくさん採れたときには、佃煮にして保存する
 のもいいだろう。下ごしらえは同じで、ぶつ切りにした
 後、みりん風調味料、酒、醤油で煮込むだけ(実のとこ
 ろ、ツクシ料理は使ってる調味料がみな同じだ 笑)。
 長く保たせるなら、かなり濃い口に味付けする必要があ
 る。数日で食べてしまうなら、少しあっさり目に。アツ
 アツのご飯に乗せて食べるのが最高。

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