カニかに BRACHYURA |
カニは節足動物門甲殻綱の生き物で、エビやヤドカリとともに十脚目 |
キンセンガニ Matuta victor 海底が砂地の海で普通に見られるカニ。ごま塩模様と、 左右にトゲが1対突き出る甲羅は特徴的で、見分けも簡 単。歩脚の第4脚は泳ぐためにヒレ状になのも特徴だ。 季節によってはたくさんの脱皮殻が打ち上がることもあ り、浜辺で拾えるカニでは一番ポピュラーな種類かもし れない。ただし、甲羅はけっこうもろく、気をつけない と壊してしまうので要注意。波打ち際で生きたもの(た いてい小さな子ども)を見かけることもあるけれど、昼 間は砂に潜っていることが多いようだ。 |
イシガニ Charybdis japonica 磯遊びなどをしているとよく見かけるカニ。磯で見られ るカニとしては大型の部類なので、ついつい追いかけ回 してしまう。ただし、捕まえようとすると、ハサミ脚を 振り上げて激しく威嚇する気の強さも持っている。生息 環境は幅広く、磯だけでなく砂底や転石底、干潟でも見 られるから、打ち上がる場所も多様なはず。写真の個体 はこの種の最大サイズに近いはず。見栄えはしたけれど 脱皮殻ではなく中身入りだったから、とても臭かった… |
モクズガニ Eriocheir japonicus ハサミ脚に長い毛が密生しているので、「藻屑」の名前が ある。実はこのカニ、海のカニではなく川のカニ。ではな んで海岸に打ち上がるかと言えば、このカニは秋に産卵の ために川を降り、しばらく磯や河口、汽水域などで過ごす ためだ。産卵はエネルギーを使う大仕事だから、力尽きて しまうものもいるのだろう。神奈川県南部には、まだこの カニが生息できる環境がわずかに残っている。昔は産卵の ために川を降るこのカニを捕らえ汁などにして食べていた のだが、今時の都市近郊ではそんなことをする人もいない だろう。このまま細々とでも、生き長らえてほしい。 |
カルイシガニ? パッと見、特徴的だったので、写真を2枚ほど撮っただ けだったのだが、図鑑を見てもいまいち正体がよくわか らない。一番印象の近いカルイシガニと仮にしておきた い。とにかく甲羅がはっきりと領域に分かれていること 甲羅の表面や縁、歩脚の縁に鋭いトゲが生えていること が大きな特徴だ。生態写真の図鑑ではなく、標本写真の 図鑑を見れば、きっとコイツの正体もわかるだろう。図 鑑を手に入れるまでの宿題としておこう。 |
スベスベマンジュウガニ Atergatis floridus 磯などでよく見られるオウギガニの仲間。楕円形で滑ら かな甲羅が特徴で、名前が「すべすべ」と言うのもよく わかる。また、このカニは毒があることでも有名で、そ の毒は加熱しても毒性が失われない。食べると危険…と 本などに書いてはあるが、「こんなカニ、誰が食べるの か…」とも思う。でも、磯などに来ると、すぐに何か捕 まえて食べようとする連中がいるから、注意書きもやは り必要なのか。磯やその周辺の浜辺によく打ち上がり、 脚が取れて甲羅だけになって転がっているものが多い。 |
ノコギリガニ Schizophrys aspera だと思う。ハサミ脚も歩脚もほとんど取れてしまってい て甲羅だけになって落ちていた。生息環境が岩場なので おそらく自然に打ち上がったものではなく、漁師さんの 網にかかって捨てられたものだと思う。ただ、比較的浅 い水深から生息しているカニではある。体は茹でなくて も鮮やかな赤。甲羅の縁には名前の由来でもあるノコギ リ状の鋭いトゲが並んでいる。まだ生きたものを見たこ とはないが、水中で出会っても楽しそうなカニだなぁ。 |
ヒラコブシガニ Philyra syndactyla コブシガニの仲間は、砂底や砂泥底の海にすむ代表的な カニ。丸い甲羅が特徴的で、名前もそれに由来するのだ ろう。コブシガニの仲間は何種類かいてどれもよく似て いるのだけれど、本種は他種に比べてハサミ脚が長いの が特徴といえるだろう。本種についてはあまり資料がな いのだけれど、やや外洋に向いた海岸に多いようだ。神 奈川でも千葉の外房(九十九里)でも見たことがある。 *今までマメコブシガニとしていましたが、訂正します。 |
ヘリトリマンジュウガニ Atergatis reticulatus オウギガニの仲間では、スベスベマンジュウガニに次い でよく見かけるカニ。名前は甲羅の前縁に「縁取り」が 発達していることに由来する。甲羅は赤く、しわが深く てザラザラした感じ。一目でスベスベマンジュウガニと 区別できる。稀に見かけるアカマンジュウガニとは見分 けが難しそうだけれど、自分の印象では本種の方がやは り甲羅のしわが深いように思えた。甲羅はけっこう固く て、なかなか格好いい(?)感じ。 |
NEW! タイワンガザミ Portunus pelagicus ガザミとともに「ワタリガニ」と呼ばれ、和食に中華、 イタリアンと、どうやって食べても美味しいカニ。写真 はオス。カニといえばズワイガニや毛ガニを想像する人 には、この派手な色彩のカニが食用になるとはとても思 えないだろう。内湾の砂泥地などに多く、砂に潜ってい ることも多い。移動するときは、ひれ状になった4番目 の歩脚を使って器用に泳ぐ。ガザミの仲間は甲の縁にギ ザギザがあって格好もよく、拾って嬉しい甲だ。中でも このタイワンガザミは色彩も美しいので、海岸で見かけ たら、ぜひ手にとって見てみてほしい。 |
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