おさかな ACTINOPTERYGII

 海岸にはさまざまな海中生物が打ち上げられる。その中でも、最もわ
かりやすいのが魚類。海が荒れた日や急に海水温が下がった日に、弱っ
た魚が打ち上がることが多い。また、漁師さんが網にかかった商品価値
のない雑魚を捨て、それが打ち上がることもある。         



タイトル タイトル タイトル
ボラ
Mugil cephalus cephalus


 沿岸域や内湾、河口などの汽水域な
 どにすみ、若魚は河川の下流域にも
 入り込む。群れで海底の岩などにつ
 いた藻類を食べていて、時には何十
 何百という大群を見ることも。夕方
 に水面でライズするのはこの魚だ。
 食用にもなるし、卵巣を薫製にした
 ものが「唐墨」。打ち上げは多い。


ダイナンウミヘビ
Ophisurus macrorhynchus


 魚にもウミヘビ科があり、これもそ
 の1種。全長は1.5 メートルにもな
 り、細長い吻と大きな口が特徴。昼
 間は海底の砂の中に潜って、頭だけ
 を出していることが多い。完全な底
 ものなので、弱って死んだものか、
 夜間の刺し網に掛かって捨てられた
 ものではないかと思う。     


ホタテウミヘビ
Pisodonophis zophistius


 アナゴに似ているけれど、これもウ
 ミヘビ科の魚。わかりやすい特徴は
 尾の末端がヒレではなく、肉質で終
 わること。ダイナンウミヘビに比べ
 ると吻はかなり短く、全長は1メー
 トルほど。昼間は、海底の砂の中に
 潜って、頭だけを出していることが
 多い。打ち上げはやはり稀な方。 


タイトル タイトル タイトル
ニシン科の仲間
Clupeidae sp.


 初夏から夏の頃、よく海岸に打ち上
 がる数センチほどの小魚。淡青色の
 綺麗な体色をしている。イワシかな
 にかの幼魚かとも思うが、口が小さ
 いので、キビナゴかもしれない。こ
 れらの小魚が増えると、それを追っ
 大型魚や水鳥が増える。水中でも群
 れが陽光にキラキラ光って美しい。


アイゴ
Siganus fuscescens


 沿岸の磯魚の代表。釣りの対象にも
 なり、磯臭さはあるものの食べても
 美味しい。ただし、背ビレや腹ビレ
 などのトゲに強い毒があるので、注
 意が必要。写真のものは、おそらく
 漁師さんが捨てたもの。食べられる
 けれど、流通に乗るような魚ではな
 いのだろう。          


カワハギ
Stephanolepis cirrhifer


 釣りの対象として人気が高く、また
 食べても美味しい魚。肝和えの刺身
 なんて最高! だから、これを捨て
 るとも考えづらいので、自然死した
 ものではないだろうか。釣りでは餌
 取りとして知られ、ダイビングでは
 口から水を吹き出して海底の砂を飛
 ばし、餌を捕るのが観察できる。 


タイトル タイトル タイトル
シマガツオ
Brama japonica


 ある冬に、茨城県の波崎海岸に行っ
 た時に見つけた。やや外洋の表層近
 くにいる魚だけど、低水温と強い海
 風で打ち上げられたものだろうか。
 食用にはなるようだけど、あるいは
 雑魚として漁船から捨てられたもの
 かもしれない。地元の神奈川では、
 見ることのない魚だ。


ゴンズイ
Plotosus lineatus


 海にすむナマズの仲間。口のまわり
 には、8本のヒゲがある。沿岸の磯
 多く、幼魚はゴンズイ玉という濃密
 な群れをつくる。成魚は夜釣りでよ
 く掛かってくる。蒲焼きなどで食べ
 られるけれど、胸ビレと背ビレのト
 ゲに猛毒があり、刺されると死亡す
 ることもある。打ち上げも多い。 


カレイ科の仲間
Pleuronectidae sp.


 写真のものは状態が悪くて、種類ま
 では判別不能。種類によっては沿岸
 や汽水域に入るものもいるし、10〜
 15センチくらいの幼魚なら、海岸の
 ごく浅い砂地でも見ることがある。
 一般に、目は頭を上にしたときに見
 て「左カレイに右ヒラメ」というけ
 れど、そうでないカレイもいる。 


タイトル タイトル タイトル
ツバメウオ属の仲間
Platax sp.


 千葉の南房総で見かけた。どちらか
 といえば暖かい海の魚なので、さす
 がは南房といったところか。状態が
 悪いので断言は避けたが、分布から
 言ってツバメウオ(P.teira)と思わ
 れる。群れで魚礁などの上をゆった
 り優雅に泳ぐので、ダイビングでは
 人気が高い魚でもある。     


オヤビッチャ
Abudefduf vaigiensis


 スズメダイの仲間で、暖かい海にす
 む。本州沿岸では夏から秋に幼魚が
 現れ、磯や港内などで見ることがで
 きる。そのほどんどは冬の低水温に
 絶えられずに死んでしまうので、こ
 のような魚を死滅回遊魚とよんでい
 る。写真のものは10センチ弱あった
 ので、かなり成長したもの。   


シマイサキ
Rhyncopelates oxyrhynchus


 「イサキ」とついているが、イサキ
 科ではなくシマイサキ科の魚で、分
 類的にはかなり遠い。磯などでよく
 見かけるコトヒキと同じ仲間。コト
 ヒキは体側の黒帯が半円を描いて頭
 上に抜けるけれど、こちらは真っ直
 ぐで、中央の1本は目を通る。やは
 り沿岸や汽水域などにすむ。   


タイトル タイトル タイトル
Charybdis japonica

 海岸の打ち上げは非常に多いけれど
 大抵は網に掛かって捨てられたもの
 だろう。食べれば美味しい魚で、千
 葉や和歌山などでは有名。蒲焼きの
 ほか、干物や薫製、佃煮にする。歯
 が少ししかないのがウツボ。多数の
 歯が何重にも生えているのがコケウ
 ツボ。似ているけれど別種。   


ウシノシタ科の仲間
Cynoglossidae sp.


 ヒラメやカレイよりも、さらに特殊
 な体になったのがウシノシタ。フラ
 ンス料理で言うシタビラメも、この
 仲間。大抵、どこの国でも「舌」に
 見立てた名前がついている。あまり
 にボロボロなので種類は不明。ダイ
 ビングではクロウシノシタなどが、
 時どき観察されている。     


ダツ科の仲間
Belonidae sp.


 ダツの仲間は、非常に細長い真っ直
 ぐな体をしていて、両顎も細長く尖
 るのが特徴。夜間、ボートや漁船で
 ライトをつけると、それに向かって
 飛び込んでくることがあり、鋭い顎
 が刺さり大怪我することもあるらし
 い。種類によっては全長1メートル
 を超えるものもいる。      


タイトル タイトル タイトル
マアナゴ
Conger myriaster


 江戸前の天ぷら、寿司で有名な魚。
 ダイナンウミヘビなどと違い、こち
 らはアナゴ科の魚。尾は背ビレと尾
 ビレが繋がったヒレになっている。
 全長は大きいもので1メートルにな
 るが、写真のものは60センチほど。
 体側(側線部分)に白点が並ぶのが
 特徴で、近似種と見わけられる。 


ハコフグ
Ostracion immaculatus


 ヒラメやカレイよりも、さらに特殊
 な体になったのがウシノシタ。フラ
 ンス料理で言うシタビラメも、この
 仲間。大抵、どこの国でも「舌」に
 見立てた名前がついている。あまり
 にボロボロなので種類は不明。ダイ
 ビングではクロウシノシタなどが、
 時どき観察されている。     


白骨?化ハコフグ


 左のハコフグが、時間が経ち、日に
 晒され、腐り、朽ちると、こんな感
 じになる。と言っても、これでもか
 なり臭い(笑) 綺麗に白くなって
 いると、ついつい持ち帰りたくなる
 のだけど、できない〜。体を覆う骨
 板は、蜂の巣状に組み合わさってい
 て、とても不思議な感じがする。 


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