フィールド見歩記
何気ない日常の中でふと見かけた“小さな自然”や季節の移ろいを
日記形式で紹介していこうと思います。まめの更新を努力します。
おいおい…。 昨日、昼頃に仕事の打ち合わせで外出。マンションから出ようとすると、玄関のあたりをひらひ ら飛ぶものが…。え?チョウ??外に出て確認するとテングチョウだ。このチョウは成虫で越冬す るチョウで、調べてみると冬でも暖かい日は活動するとある。昨日の逗子はここ数日に比べれば、 確かに少し暖かかった気もする。でも、今年の冬は昨冬に比べたらかなり寒い。成虫越冬のチョウ は、特にこの神奈川南部ではまだ寒い早春3月はじめころから姿を見ることがある。でもねぇ…。 写真でよく見ると、比較的羽の痛みも少なく、どうやら秋遅くに羽化した2化目の成虫のようだ。 越冬するにはまだ元気が有り余っていたのかも。一晩明けた今日は、昨日に比べ気温が下がったよ うだ。居心地のよいねぐらを見つけて、無事に越冬してくれていることを祈ろう。 |
波崎・銚子の旅 そのD ラストショット 今回は夜行一泊二日の旅。2日目は東京方面へ戻りながら、九十九里浜を歩いてみることにした。 とは言っても九十九里浜は長大な浜辺。全てを歩くことなんて無理だし、とりあえず行き当たりばっ たりで、何カ所かの浜辺に立ち寄ってみた。そうして見た九十九里浜は、一部では浜が細くなり護岸 された場所はあったものの、僕の住む神奈川の浜なんか比べもにならないほど広々とした開放感のあ る浜辺だった。成田へ向かう各国の旅客機が上空をかすめていくのも、また不思議な感覚だ。 車をひたすら走らせて、最後に辿り着いたのは九十九里浜の南西端、太東の海岸。折しも力を強め だした寒気団の影響か、厚い雲に陽射しを奪われてしまったけれど、ただ波の音だけが聞こえる夕暮 れの浜辺はとても心地よかった。そして最後、名残を惜しむかのように何気なくシャッターを押した 1枚が、自分にとっても今回の旅で最も心に残る1枚になってくれた。 |
波崎・銚子の旅 そのC 市場の旅 銚子市内で一泊した翌朝は、早起きをして犬吠埼で日の出を見た。市内に戻り、魚市場近くの食堂 で朝食。その後、ぶらぶらと銚子漁港の中を歩いてみた。本当は関係者以外立ち入り禁止なのかもし れないけれど、特に注意されることもなかったのでいろいろと見て回った。ちょうど、サバやアジを 漁船からトラックに水揚げしていたのだが、そのトラックごと競りにかけていたのには驚かされた。 漁協の鮮魚販売センターを覗こうと行った先では、またおもしろいものを見つけた。水揚げし、競り 落とされたマグロがごろごろ。そそくさと近寄って写真を撮らせてもらう(勝手に…だけど)。体長 1メートルほどのビンナガマグロだ。写真は撮れなかったが奥にはもっと大きな本マグロ(クロマグ ロ)らしき巨体もあった。その横には籠に入ったフカヒレ、そして頭を切り落とされたサメ本体も! さらに驚いたのは、でかくて丸くて赤い魚、アカマンボウ。体長というか、直径1メートル、という 感じ。図鑑では見たことがあったけれど、本物を見るのは初めてで感動。後で調べてみると、かなり 美味しい魚らしい。う〜ん、次に機会があったら、ぜひ食べてみたいなぁ…。魚市場は自然のフィー ルドとは違うし、そこで見る魚はダイビングで見る魚とも違う。でも、こんな見歩きもまた楽しい。 |
波崎・銚子の旅 そのB 天の恵み 実を言うと、今回の旅はもともとアオイガイを求めて日本海側を彷徨う予定だった。けれど、天気 予報を見ると、日本海側は大雪の予報。交通の面でも不安があるし、そもそも悪天で浜辺歩きができ なくなってはお話にならない。そこで急遽、予定を変更したというわけなのだ。その結果、旅行中は 概ね天候には恵まれたが、この冬の強い寒気団の影響か、多少不安定なところもあった。ところが、 それがまた思わぬプレゼントを贈ってくれるのだから、自然というのはホント楽しくて仕方がない。 犬吠埼の沖、太平洋に架かる虹。虹なんてゆっくり見たのはいつ以来だろう…。部屋に籠もるような 仕事をしていると、空を見上げる時間が少しずつ減っていく。僕の部屋の窓の外にも、打ち合わせで 出かけた東京のビルのすき間にも、空はちゃんと存在しているのに…。上の写真は犬吠埼の日の出。 あと2週間もすれば、初日の出を見る人で大賑わいの岬も、その日は静かなもの。でも、どんな理由 でも、どんな機会でも、空を見上げる一時が誰にでもきっと必要なんだと思う。 |
波崎・銚子の旅 そのA 今回のお宝は? 今回の目的は漂着物。さすがにクジラは持って帰れない(大きいと言うより臭い!)ので、お持ち 帰り可能なお宝に巡り会いたい。前回に来たときには南方系の植物種子がかなり見つかった。今回は どうだったかというと…。まず見つけたのがルリガイ(写真左上)。海面を漂流生活する貝で、ビー チコーマーのみならず貝好きの人にも人気の高い種類だ。しかも、今回見つけたものはデカイ!最大 のもので殻高 3.4センチ。直径は500円玉サイズ。話には聞いていたが、実際に見るのは初めての大 きさだ。南方系の植物種子は低調だったが、唯一見つけたモダマが、これまた今まで拾った中で最大 のものだった(写真右上)。最大幅で 5.8センチ。この大きさ、間違いなく海外から来たものだ。 そのほかの収穫物は下の写真。ガラスの浮き球5個。エイやサメの卵濃、魚(サメ?)の歯、ヒシ の実、大きなシナアブラギリ、ハスノハカシパン、マヒトデ(小)、細長い巻き貝、犬吠埼で拾った 化石の入った(っぽい)石などなど。同行した知人は、もっとすごいもの拾ってたけどね…。 |
波崎・銚子の旅 その@ 死体愛好家!? なんて言うとちょっとヤバめ…。12月の12〜13日、茨城県の波崎町と千葉県銚子市および外房を 訪れた。この辺りは黒潮が本州に接岸する最後の地点。漂着物で有名な場所だ。夜通し車で走って、 夜明け前に波崎町に到着。ほんの1時間ほど仮眠をして、夜明けとともに行動開始。で、早速見つけ たのが左のクジラ。と言っても、大きさは1.5 メートルほど。大きさと吻端が少しとがる特徴から、 カズハゴンドウではないかと思う。クジラの漂着死体に出会うのは久しぶりだ。動物の死体と言うと 気味悪がる人も多いだろうけれど、生態調査や自然保護のためのフィールドワークでは、死体の調査 もとても重要だ。もちろん、僕は見るだけだけどね。 今回はほかに波崎と九十九里浜でウミガメ計3頭(写真右 おそらくアカウミガメ)も見かけた。 これが多いのか少ないのかはわからないけれど、海棲の大型動物を取り巻く環境は、とても厳しい。 せめて、彼らには安らかな眠りを与えてあげたい。 |
やっと晩秋 神奈川県南部のこの町でも、木々の色づきが盛りを迎えている。この辺りの雑木林にはモミジやカ エデは多くはない。だから派手さはないのだけれど、赤でも黄色でもなく茶色でもない、その微妙な 色合いが僕は好きだ。コナラやヤマザクラ、カラスザンショウ、ヌルデ…部屋の窓から丘陵の斜面を 見ているだけでも楽しい。それにしても、最近は冬になるのが遅くないか? 昔は12月って、もっと 寒々しかったような気がするのだけど…。これも地球温暖化の影響かな。でも、知り合いの住む戸隠 ではもう小雪がちらつくような気候だという。この前に訪れた屋久島では、山の上ではもう秋真っ盛 りなのに、麓ではまだ 20 度近い気温だった。なんだか日本って、おもしろいな。 で、写真は神奈川県ではなくて、屋久島で見かけた秋らしい小風景。 |
浜辺のキダコ 浜辺でこんなものに出会うと、思わずギョッとしてしまう。ご臨終なされて弛緩しているので、よ けいに不気味に感じるのだ。そのお方のお名前はウツボ。これは打ち上げられたのではなく、漁師さ んが網にかかったのを捨てたもの。このような「ゴミ」は意外に多く、湘南から三浦あたりでよく見 かけるのはこのウツボのほか、ハコフグ、ハリセンボン、ドチザメの仲間、それにイシダタミヤドカ リなどのヤドカリ、タコノマクラなどなど。でもハコフグもハリセンボンも、それにウツボだってち ゃんと食べられる。ウツボは蒲焼きや佃煮にすると美味らしい。確かに商品にはならないのだろうけ ど、せめて自家消費してほしいな。ウツボの学名kidakoは神奈川県三崎の方言名なんだから。 |
冬を迎える もう 11 月の半ばに差しかかろうとしている。神奈川県南部の海沿いの街でも、辺りの木々がだい ぶ色づいてきている。今日は朝から曇りで、気温もそれほど高くない。午前中、ちょっと買い物に出 た時に、住宅街の裏手の小道でクロコノマチョウを見つけた。立派な秋型のオスのようだ。しかし、 気温が上がらないためか、動きがどうも鈍い。間近まで迫ってやっと飛び上がったが、よろよろと少 しとんで、近くの草へ。このチョウは近年になって関東南部へ進出してきたチョウで、この秋型はそ のまま成虫越冬する。とは言え、彼らがもともと暮らしていた場所に比べたら、こちらの冬は厳しい はず。無事に越冬できるだろうか。寒いのが苦手な僕は、ついついチョウの心配までしてしまう。 |
打ち上げビン このところ話題に上げていながら画像を出していなかった打ち上げビン。いったいいつ頃に使われ たものかよく分からないが、古いものでは明治時代の薬ビンなどが打ち上がるようだ。僕が拾ったも のはスクリュー式の口のものが多く、それらのキャップはおそらくプラスティック製だろうから、古 くてもせいぜい昭和30年代くらいか。それでも今使われているガラスビンに比べデザインが凝ってい たり、作りが粗くて歪んだり気泡があったりして、なんだか親しみがもてる。砂に擦れてガラスが白 く曇っていたり、波のような模様ができているのも楽しい。その中に、ガラスが砂の中で銀化と呼ば れる現象を起こしているものがある。光の当たる角度や、光の種類によって、銀色だけでなく、虹色 の光沢が出たり、金色に輝いたりするのだ。ちょっとお宝ぽくて、いい感じである。 (写真左は太陽光を反射させたもの、右はデスクライトの光を透過させたもの) |
ふたたび馬の歯 材木座海岸がおもしろい。仕事がたまってきているのでどうしようかとも思ったが、今日も午前中限 定で海へ。葉山の一色海岸…という考えも浮かんだけれど、短い時間でも何かしら成果が得られる材木 座海岸へ。潮はほぼ満潮で海岸は狭くなっていたが、風が強く波もあって、海岸にはポツポツと打ち上 げ物があった。とりあえずの目標は先日初めて拾った「馬の歯」。しばらく歩いていくと早速1本。今 回のものは歯根がはっきりしていて分かりやすかった。さすがに2回目なので、冷静に漂着状態の写真 を押さえる。結局、この後にも1本拾って、今日の成果は計2本。しかし、それ以上に成果のあったの が古ビン。いらなければゴミ回収に出せばいいやと、古そうなもの、小さいものを 10 本ほど拾う。拾 うのは自然物で、人工物には手を出さないようにしていたのだけど…。う〜ん、この先がタイヘンだ。 |
馬の歯 今日は久しぶりに鎌倉の七里ヶ浜と材木座海岸へ。実は先週の土曜日に葉山と鎌倉でタコブネ:タコ 仲間で卵を保護するためにメスが貝殻を作る:が上がったという情報があり、今更ダメとは思ったもの の、出かけてみたのだ。では、肝心の土日は何をしていたのかというと、風邪をひいて熱でダウン…。 奇跡はそうそう起こるものではなく、タコブネはもちろん夢のまた夢。でも、今回初めて材木座海岸で 馬(?)の歯を拾った。馬の歯は鎌倉時代に処分された馬のものと言われ、ビーチコーマーの間では有 名な鎌倉名物。僕は人が多く、また強者のビーチコーマーが揃う鎌倉は避けて通っていた(笑)ので、 馬の歯も今日初めて手にしたというわけ。鎌倉の浜は陶片も有名で、今日もさまざまな陶片が落ちてい た。でも拾って帰ったのは、今は見かけなくなった薄緑色の清涼飲料ビン。花瓶代わりに使おうかな。 |
秋の日はつるべ落とし 最近は午前中に海に行くことが多かった。仕事やら雑用やらを始めてしまうと、それを途中で止めて 外出するのが億劫になってしまうのだ。そういえば、逗子の海岸もちょっとご無沙汰している。それな ら今日は…と、日没時刻を確認して夕方4時過ぎから海岸へと向かった。ところが、なんだかもう太陽 がかなり低い。ちょっと焦って、せかせかと速歩き。考えてみれば、西には箱根や伊豆の山があるし、 地平近くには雲もあるだろう。太陽が西の地平に沈むのは、正確な日没時刻よりも早いのが当たり前。 それでも何とか間に合って何枚かシャッターを切った。案の定、地平には雲があったけれど、空に浮か んだ雲がそれなりの雰囲気を見せてくれた。 でも、焦っていたのか、1枚目の海岸に出る少し手前で 写した写真は、肝心のコスモスがピンぼけしていた…(泣)。 |
優しい黄色 海岸でイソギクの花が咲き始めた。ツワブキの方は早くも盛りを迎えているという感じだ。この時期 になると花を咲かせる植物はほとんどないのだが、この2種類に限っては元気いっぱい。場所によって は黄色い絨毯のように見えるほど咲き誇っている。潮風が吹き付ける砂地や岩場で、しかも日照時間の 少ないこの時期に花を咲かせるなんて、なんともたくましい。イソギクは歴としたキク科キク属の植物 だけど、花びら(舌状花)がないので、一般に思い浮かべるキクとはちょっと違った印象。けれど、そ の派手さはないが目に優しい黄色の花は、空気の澄んだ爽やかな10月の海辺によく似合っている。 |
秋の赤・青・黄色 海岸の散歩などには出かけていたのだけれど、いい写真が撮れなかったり、よく遊んでるな…などと 思われるのもイヤなので、更新してませんでした(笑)。そうこうしているうちに秋は少しずつ深まっ て、木々の葉も色づき始めている。週末は実家に戻っていたので、久しぶりに地元の観察フィールドへ 出かけてみた。さすがに10月も半ばになるとフィールドも静かなもの。虫たちはまだ見られるものの、 心なしか元気なさ気。植物では野菊の仲間やタイアザミが咲いていて、コウヤボウキの花がそろそろ盛 り。ヤマグリはもうなかったけど、アケビは食べ頃のよう。ゆっくりと時間をかけて歩けば、いろいろ な発見がある。その中から今日は3つ。撮った画像を見ながら「信号みたい…」と思って選んでみた。 赤はガマズミの果実、黄色はセイタカアワダチソウ、青はツリガネニンジンの花。 |
夏の名残? 4日に何年ぶりかで荒崎海岸へ行って来た。名前のとおり荒々しい磯場だが、遊歩道があって気軽に 散策できる場所だ。小さな駐車場はシーズンオフの平日なら無料。以前に来たときにはアサガオガイを 拾ったのを思い出した。さて、今回は…と歩いていくと、なんとヤシの実が漂着しているではないか! しかし、よく見てみるときれいに穴を開けた跡がある。う〜む…可能性としては、この夏に、どこかの 海の家から出たゴミ、というのが真相か。これも一風変わった夏の名残なのかもしれない。 とある一角ではハチジョウナが花を咲かせていた。イワダレソウやハマゼリ、クコなども咲き、小さ な虫たちが時を惜しむかのように蜜を求めて飛び回っていた。 |
ハマカンゾウ 秋の始めに海岸でよく目立つのが、このハマカンゾウ(浜甘草)だ。本当は夏の頃から咲いているの だけれど、ほかの花が姿を消す今頃の季節になって、やっと主役の座が巡ってきたという感じかもしれ ない。秋雨前線の影響か、今ひとつはっきりしない曇天の下、その花のオレンジ色は日の光を集めたか のようだ。この仲間の花は朝開いて夕方にしぼむ1日花。だから曇りの日に咲いた花は太陽を見ること なく終わる。でも、株自体がしっかりと太陽の光を記憶してるから、太陽と同じ色が出せるのだろう。 |
死 海岸で1羽のアオサギが落鳥していた。彼(彼女)に一体なにが起きたのかは分からないが、フィー ルドではさして珍しくもない出来事のひとつだ。病気などで衰弱して力つきたのか、あるいは突発的な 事故に出会ったのか。苦しい思いをしたのだろうか。もしかしたら、自分が死んだことに気がついてい ないくらい突然に死を迎えたのかもしれない。でも、たとえどんな死に方をしたにしろ、彼らの骸はほ かの誰かの糧になり、残ったものは土に還る。自然の中では、死後は誰もが平等で、きっと幸せだ。 世間のしがらみから離れられない自分ら人間の死は、はたして彼らのそれほど幸せなのだろうか? |
波遊び はっきりしない天気。湿気が多くてかなり蒸し暑い。買い物のついでに海へ。連休明けの平日とあっ て、体育の授業か部活動で走らされている少年たちを除けば、人影もまばら。波は穏やかで、漂着物は ほとんどなかったけれど、相変わらずサクラガイなどの貝殻はたくさん落ちているからうれしくなる。 波打ち際を注意して見ていると、小さな貝が寄せる波と引いていく波に乗って、遊んでいるかのように 動いている。波が寄せる瞬間に砂の中からモワッと現れるようすは、まるで砂浜が沸き立っているよう だ。貝は1センチにも満たない大きさ。ナミノコガイとフジノハナガイという種類で、その古名は見た 様子のままの「波遊び」。写真を撮ろうと佇んでいると、波打ち際をコトヒキの幼魚が泳いでいたり、 小さなキンセンガニの子供があわてて砂に潜ったり、砂浜も意外に生き物が豊かなことに気がつく。 *写真はまだ試し撮り。天気のよい日に再チャレンジ。連写や動画で撮るともっとおもしろいはず。 |
台風14号 各地に大きな被害をもたらした台風が去った。神奈川県をはじめ関東南部は台風のルートからははず れていたのに、日曜日から昨日まで激しい雨と強い風に見舞われた。でも、今日はいい天気! 空気は 澄み切って、空に浮かぶ雲もくっきり。台風はちょっとドキドキ・ワクワク。そして、この台風一過が 何ものにも代え難く、魅力的。もっとも台風の被害を受けにくい所に住んでいるから、こんなお気楽な ことが言えるのかもしれないけれど…。でも、許されるなら、どんな状況でも楽しさを見出したいな。 写真はギンカクラゲ。この手のクラゲを見つけたら貝好きはアサガオガイやルリガイを期待するのだけ れど、そちらは見事にハズレ。まぁ、今日のこの気持ちよい空と海が見られただけ良しとするか…。 |
お帰り 9月に入った。昼間はまだまだ残暑がきびしいけれど、夕方になると涼しく心地よい風が吹くように なってきた。今日は知り合いがわざわざ訪ねて来てくれたので、海へご案内。さすがに週末だし、まだ 夏を忘れられない人々が多数。でも、海の家は半分以上が解体を始めていて、営業しているところもお そらくは、この週末が最後の営業だろう。知り合いの2人は貝拾いに夢中。夕暮れが忍びより、浜辺も 少しずつ静けさを取り戻す。これからの季節、また海に行く日が増えてくるだろう。お帰り…。 |
最初で最後 8月も、もうすぐ終わり。8月最後の週末は穏やかに晴れ、暑さも和らいだ感じで、気持ちがいい。 この夏はほとんど外に出かけていない感じだったが、今日だけはと逝く夏を惜しみながら近所の散歩。 住宅地の裏道を歩いていると、道路にカブトムシのメスが落ちていた。逗子の林はカブトムシがすむに はイマイチの環境に思える。しかも、真っ昼間に道路に落ちているのも不自然。もしかしたら、どこか の家から逃げてきたものかもしれないが、今年はこれがカブトムシとの最初の出会い。そして、おそら くはこれが最後の出会いだろう。もしかしたら、すでに交尾を済ませていて、卵を産むかもしれない。 そう思って、近くの公園のコナラの木に放す。僕はそれほど昆虫好きではないし、今更カブトムシくら いでは驚かないけれど、この夏からのささやかな贈り物は、ありがたく受け取らせてもらった。 |
置き土産 昨夜、台風11号が関東地方沿岸を通りぬけていった。激しい風と大量の雨。けれど、千葉から茨城に 上陸したようだが、幸いにも大きな被害はなかったようだ。いろいろと迷惑なことが多い台風なのだが これがビーチコーマーにとっては内心嬉しい来訪者なのだ。不謹慎なので大きな声では言えないが…。 しかし、せっかく関東にやってきても、早めに上陸してくれないとあまり意味がない。台風が沖を通っ てしまうと、低気圧である台風に吹き込む風は、陸から海に向けて吹く。案の定、今日の浜辺は思いの ほか、漂着物が少ない。底うねりで打ち上げられた海藻が主体で、人工のゴミもほとんどない。でも、 そんな中でたった1個、シナアブラギリの種子が落ちていた。隣には中国語の書かれたペットボトル。 台湾辺りから一緒に旅してきたのだろうか…。 (中央下の黒いものがシナアブラギリの種子) |
鳴く虫 前のフィールド見歩記から、あっという間に1ヶ月が過ぎてしまった。夏バテなのか体調がいまいち 優れず、暑い野外に出かける気持ちになれなかったのだ。そうこうしているうちに夏も終わり。夜には いつの間にかセミとは違う虫たちの鳴き声が聞こえてくるようになっていた。 先週末は所用があって実家に戻ったので、久しぶりに地元の観察フィールドを歩いてみた。この時期 は花も少なく中途半端な端境期なのだが、植物や昆虫のポイントを1つひとつチェックしながら歩くの は、やはり楽しい。その道すがらで出会ったのはキリギリス。鳴く虫の中では一足早く夏から現れる。 この虫を見ると『アリとキリギリス』の寓話を思い出すが、フリーランスの身の上では、キリギリスの 生き方も案外悪くはないなぁ…と思ってしまうのだ。 |
台風一過 台風が中途半端に過ぎ去った翌日。置きみやげは立派な台風一過の青空。夏の埃っぽさは大粒の雨が 流し去り、空気は爽やかに澄んでいた。空の青は濃く、雲の輪郭もくっきり。ああ、これは海へ行かな くてはいけない…。ちょっと期待していた漂着物は何もなかったけれど、キラキラ光る海を見て、海風 を感じられただけでも十分に満足。ふと足元を見ると、波に洗われた砂地が鏡となって、夏雲を映して いた。あまりの気持ちよさに、海と空もひとつに混ざり合ってしまったような気がした。 |
オサムシタケ とある人のHPを見て、ふと思い立って観察場所の1つである近所の神社に行った。ここは以前から 少しあやしいと睨んでいた場所だ。参道を入ってすぐ、丸太を使った土止めを見ると、まず発見。オレ ンジ色っぽい胞子の集まり。このタイプは見たのは初めてだけど、おそらく変形菌の子実体(胞子体) だろう。まわりの地面にも、同じものがいくつかある。次に参道脇の土の斜面を見ていくと、お目当て の物を早速見つけた。残念ながら初めて見るタイプではなかったが、目星をつけた場所で見つけること ができたのが嬉しい。少し掘ると緑色の体が出てくる(写真左)。成虫生だ。 なんだかわかります? 完全に掘り出した物が写真右。 これは冬虫夏草の一種で甲虫のオサムシ(アオオサムシ)に寄生するオサムシタケ。生きている昆虫 などに寄生して、その栄養で育つキノコ。もちろん寄生された昆虫は死んでしまう。ちょっと恐い感じ だけれど、何年か前には、中国の陸上選手が冬虫夏草の栄養ドリンクを飲んで活躍し、有名になったの を覚えている人もいるはず。少し離れた場所でも、さらにもう1つ発見。こちらは幼虫生らしい。冬虫 夏草にもいろいろな種類があるけれど、オサムシタケはわりと普通に見られるタイプ。違う種類のを見 てみたいのだが、この世界はまだ知識も経験も少なくて、なかなか実現しないのだ。 その後、神社の境内ではベンチ代わりに置かれた(?)丸太で、変形菌のムラサキホコリ(子実体) も見つけた。ヤブ蚊の多さには閉口したが、わずかな時間で意外に収穫の多かった散歩になった。 いつもこうだと楽しいのだけどな…。 |